サスペンスとゾンビ映画の融合『ゾンゲリア』ネタバレ感想
ウォーキングデッド、がっこうぐらし、The Last Of Usとあらゆるジャンルでゾンビ漬けになっているアンヂです。いやー日常がゾンビにまみれていますが好きなのだからしょうがない。
『ゾンゲリア』(1981/アメリカ)を観ました。
監督はゲイリー・A・シャーマン。脚本はダン・オバノンとロナルドシャセットのコンビでこの二人は名作「エイリアン」の原案を担当しています。ダン・オバノンは『バタリアン』の監督なども行なっていますね。
ゾンビ映画というジャンルですけど色々な要素を持つ異色作。「あう~」とか「ヴぉえ~」みたいな声を発して人間を襲い食べる、いわゆるモダンゾンビ映画とはまた違った作品です。ゾンビ映画を観ようと思ってみると違和感があるかもしれませんがブードゥ教を背景にしたストーリーなのでゾンビに興味ある人は観ておいて損はないです。ということで感想。
【ストーリー】
平和な港町ポッターズブラフ。一人の写真家が町を訪れたところからストーリーは始まる。浜辺で彼に話しかける女性が一人。翌日、カメラマンは炎上した車の中で発見される。なんとか一命をとりとめた彼であったが、この事件のことを不審に思った保安官ダン・ギルスはこの事件がただの事故か、それとも事件か調べるために捜査を始める。操作を進めていくうちに恐るべき真相に彼は近づいていく、その一方被害は拡大し、一人また一人と犠牲者は増え続けていくのであった。
・感想
ゾンゲリアというタイトルからしてゾンビが大量に襲ってくるようなホラーを想像しますよね。私もそうでした。邦題つけたやつでてこい!という感じ。中身みたらこんなタイトルつけないと思うんだけどな~。ゾンビ+サンゲリア=ゾンゲリアという安易な付けられ方をした不遇な映画だと思う。サンゲリアと間違えるんじゃ!
上にも書きましたがモダンゾンビとは一線を画すサスペンス色の強い作品で出てくるゾンビも人肉を食らうゾンビではなく、死体が人に使役させられているブードゥゾンビ。保安官ダンが不審な事件を調べ、謎に向かっていく姿もサスペンス映画そのものだと思います。
良かったところは、一つの町で起こった事件で規模が小さいので田舎町全体が不穏な空気に包まれている感覚になるところ。「田舎に行ったら襲われた」系ホラーの要素も強くて閉鎖的な環境の怖さを思わせます。殺された人々がゾンビになって普通に生活してるってかなりこわいよ。そして一つの疑惑が生まれてあの衝撃のラストにつながると・・・。ラスト自体は某有名映画と被っていると思われがちですが、こちらのほうが古いのでパクリではないです。オチ読めなかったからかなりびっくりでした。監督の思いのままにされて悔しいです(笑)
ゴア描写はそれほど多くはないですね、要所要所にイタイ!と思わせる絵を上手にはさんでいました。はじめのカメラマンが燃やされるシーンと眼球に注射器のシーンはよかったです。注射器のシーンは有名(?)らしい。漁師のおっさんがボコボコにされるシーンと女の子でも容赦なく襲うのでうわ~えげつねぇ~という感じでした。しかし、それもこれもゾンビがやったことと思えば不思議と許せてしまうゾンビマジックを感じましたが。
あとこの映画のゾンビって全くゾンビっぽくない!『ゾンビ』のように顔色が悪くもないし、『サンゲリア』のようにグロテスクな汚らしいゾンビでもなく、顔に少し傷があったりするだけで死んだことに気づかせずに生活に溶け込めるゾンビです。知らぬ間に周りがゾンビだらけなんて考えただけでゾッとするわ。
・まとめ
B級を思わせるタイトルなのに緻密に作られたサスペンス映画なのでB級ホラー見ようってテンションでみると温度差がすごいです(体験談)でもでも、ラストはなかなかゾッとしますし、ゾンビ好きな方ならきっと楽しめると思います。ググってみてもヤフーの評価もでてこないし、あまり知られてない映画なのかもしれません。隠れたゾンビ映画ってとこかな。
やはり悔やまれるのは邦題!つけたやつをノロイマス。